五重の塔物語

設計担当(河原鉄工㈱ 河原 宏二)

セクション1

1.製作出展コンセプト作成

「京都らしさ&加工技術をアピール表現」(京切削・京板金・京鋳物・京塗装??)

正月早々1/5にセイワ工業の東さんのご自宅に集結、「なにやろかー?」決定会議が開催された。当初、巨大迷路を製作し、来場者に迷路を解いてもらうとか、スマートボールのようなもので、玉を打ち出し、たとえば、玉がマシニング加工のコーナーの穴に入ると加工された玉が出てくるとか・・・。という「参加型」でコンセプトは進んでいたのですが、シンガポールの展示会をターゲットに絞り、「京都らしさ、日本らしさ」をもたせて、かつ、加工技術を生かせるものは何か?ということで話が暗礁に乗り上げ、奥さんの手作りパスタをいただき、ビールで盛り上がりつつ団欒しておりましたら、会議に「肉体のみ」参加されていた!?東氏が突然「金閣寺は?五重塔は?どや?」と一言。 話はとんとん拍子に五重塔で進み、とりあえず決定!!いやーなにげない鋭い意見でした!

2.模型及び現地調査(イメージ作成)~採寸

さあて、五重塔に決まったのはいいけれど、どっから着手するか?ほとんど何の手がかりもない状態でした。とりあえず、日光電機の今井さんがインターネットで検索をはじめられました。

ところが、どういうわけかイメージ的というか、美術的な写真(夕日をバックにきれ-な五重塔など)しか見つからず、「これでは役にたたん・・・」おもわず「どうしよー?」!!

今井さんの機転から、プラモデルを探していただきました。ここでちょっとした裏話。じつは今井さんが探していたのは東寺の五重塔だったのですが「あっ五重塔や!」と思わず購入したのは浅草の浅草寺の五重塔でした。「交換してくれ」との申し出にお店屋さんは「無理!」と一言で、あげくに店の掃除をはじめて電気まで落とされる始末! 怒りに肩を震わせながら店を後にしたそうです。

どうにか五重塔を手に入れたわれわれは、さてこれをどう図面化するか?という問題にぶち当たりました。高さ10cm足らずのプラモデルをデジタルノギスで測定し、仕事の配達の途中で参考のため、東寺にゆき写真を撮り、どっから取り掛かるかという切り口を探しておりました。

当初、「図面は、各加工担当者が加工しやすいように書く」ということで私(河原)は「たたき台としての全体図を書いてくれたらいいよ」という話でした。「それじゃあ」ということで引き受けたのが間違いだった。

それが、日がすぎて盛り上がってゆくとだんだんみんなの「こだわり」がにょきにょき頭をだし始めました。「やっぱりきちっとしよう!」どうせつくるのならそうしよう!ということから3次元データの必要性が出てきました。そこからが私の苦労の始まりでした!

次のミーティングでは、「具体的にどうばらしてしまうか?」ということがテーマになったんですが、はじめは各社の技術の集大成ということもあって、五つの屋根を各加工技術で分ける(たとえば一階は板金、二階は鋳物、三階は切削、四階は樹脂等という・・)しかし完成したものの出来栄えがばらばらになりそうであり、板金なんかは特に大変そうなので没。

中の壁は、プラモデルそのままに一階から、5階までを「一枚もんにしよか?」との意見もあったけれど加工者が分担できないのでこれまた没。というわけで今回行ったような形で階層ごとに分割して製作するということになりました。

また、屋根も当初は、いつの屋根を対角で四分割して四つのパーツをボルト締めにてひとつの屋根にする予定でしたが、仕上がりの状態や、「こだわり」からひとつ物からの製作ということで落ち着きました。

京都の建築物らしく「ボルトを一本も使わずにやるか?」という話もあったんですが、物理的に困難ということでこれまた没。

3.モデリング(ソリッドCADデータ)~組図作成

さーてここから私の本格的な仕事になったんですが、全体の構成はミーティングにてほぼ確定し、各階層と屋根、壁をつなぐ「額縁」状の図面を佐藤製作所の佐藤さんが即書いてくださり、壁の形状および欄干の部分は光伸製作所の近藤さんが担当してくださいました。問題は屋根の部分なんですが、よく見ると微妙な自由曲線により作成されているため「どうやって図面にするん?」という感じでした。

最初は「何とか簡単に描けないか?」と思いいろいろトライしましたが、なかなかうまく行かず「困ったときは中小企業総合センター」ということで、お邪魔しまして、いろいろ方策をお聞きしていたんですが、たとえば、3dのスキャナで立体的にプラモデルをスキャンしていただきデータに変換するとか、昔の図面を探していただくとか・・

しかしそれぞれ問題があり(「正確な図面があったらそれに縛られて妥協できひんで」、「スキャンしてもあとで一本一本線を補修しんとあかんし、結局一から書いたほうが早いで!」)やはり一個ずつ図面化してゆくしかないということを再確認いたしました。

それからというもの、CADのサポートに電話しまくり、毎晩3時ごろまで悪戦苦闘した結果サーフェイスにて切断するという荒技をマスターすることができました。

「これでいける!!」と確信し、どうにかこうにか屋根のデータ(一番上だけ)を完成させ、山本精工の常務にメールで送信し、同社、谷口さんにお力添えを受けて何とか加工データ-のサンプルが完成するにいたりました。

その際は、常務はアメリカから戻られたところで、本当に眠そうで疲れておられましたが、最後までお付き合いくださいましてありがとうございました。

「まあ、なんとかなるでしょう。」という今井さんの心強い言葉に気を良くしてほかの屋根も着々と書いていったのでした。

ところが・・・!屋根の裏側の加工をする際に裏の曲面加工は困難という今井さんの意見が登場しまして、「何とか平面的にならないか?」と言う話がありました。

ちょちょいのちょいで直ればよいのですが、残念ながら「かきなおし」となってしまいがっくりと肩を落としつつまた振り出しに戻る、で、必死のパッチで書き直しました。

後は、バンバン書いてゆくだけですので時間はかかりましたがどうにかこうにかモデルのほうは完成いたしました。トータル3週間位かかりました。その間毎日4時間睡眠!!

 私のみならず、各担当者さんも(当然ですが)本業をお持ちで特に忙しい時期でもあったことから、勤務時間中にはほとんど作業を行うことができず、就業後(PM8:00とかから)私の場合は、会社を8時ごろ出て自宅に帰りめし食って、子供たちを風呂に入れ、やっと作業開始することができました。まあ大体10時頃からからか・・?

図面は書き出すと中途半端で終わることがなかなかできず、今日こそは早く寝よう今日こそは嫁と世間話でもしようと思いながら毎日毎日がすぎてゆきました。

やはり「なにかやらかそう!」と思い前進しているときには家族の協力というものが不可欠ですね!

4.部品図(図面・スケッチ・CADデータ)

ここからは、ほとんど作業になっていたんですが、私自身マシニングセンターを使ったことがないものでどこまでのデータ-が必要なのかわからず今井さんに聞きつつ部品図を作成してつきました。またつなぎ、壁、欄干については佐藤さんと近藤さんの図面を使わせていただきました。

全体を乗せる台については鋳物でやることは決まっていたんですが、その「型」をどのように作るかで困っていたんですがヤスダモデルさんが発泡スチロールで製作してくださいました。その基本的な寸法スケッチのみからあんなすばらしい石垣の架台を制作してくださいました。

5.仮組みのときのこぼれ話・・・・・

仮組みは弊社(河原鉄工)にて行ったんですが、「すごい」たくさんの方がこられてびっくりしました。いかにたくさんの人がかかわったのかがわかります。

組立てのほうは、「ほぼ」何の問題もなく完成いたしました。屋根の四方につく飾りについては八川さんにお願いしたんですが、一部現合的な部分があり、「寸法図ってこんどいっぱつひいてきますわ」といったおられたんですが、「フライス貸してください」とおっしゃって、夜の10時ごろから飾り16個をその場で加工してくださいました。さすがパワーにあふれてはります!

「なんかみんな楽しそうやのに、おれだけつけられへんのいやや!」との言葉が印象的でした。ごくろうさまでした」

その後色やメッキの内容も決まりさあお開きかな?とおもいきや、「台の下に石畳ひこ!」という言葉が飛び出し、玉砂利と石畳を引くことになりました。

セクション

1.五重塔屋根(1階~4階)製作協力企業

設計:河原鉄工㈱
プログラム:㈲日光電機製作所
1階:城陽富士工業㈱
2階:㈱衣川製作所
3階:㈲飛永製作所
4階:㈱木村製作所
屋根飾り:八川製作所

2.構想設計

今井さんの屋根に対するアイデアとこだわりを河原さんが3次元CADを使って形に変えていく。

最初に出来上がった直線的な屋根の形状はNGとなった。そのおかげ(?)で素晴らしい曲線の屋根が出来上がった。

~ 第1印象は切削加工が大変そうやなぁ…

3.部品図展開

河原さんが構想図から各階の屋根を部品図に展開していく。仕事を終えてから毎晩夜中まで作業が続いた。

~こんな部品加工できるんやろか…

4.プログラミング

今井さんが部品図をもとにCAD&CAMでプログラミングを開始。まず、1階屋根のデータが出来上がる。

5.社長に見せる

屋根の完成予想図を社長に見せて自分が3階の屋根を加工することになったと伝える。

6.加工担当者打ち合わせ

担当者に出来上がったプログラムをもとに説明会。刃物の選定、加工条件、加工手順などを打ち合わせ。衣川常務の一言で、まず私が加工することになった。3階の屋根データはまだない。翌日、仕事を終えてから今井さんとプログラムを作成をした。

~出来上がったのはAM4:00頃だった。

7.加工開始

翌日から加工することにした。親父からクランプ方法、治具作りを学んだ。屋根の材料がもうひとつ届いた。失敗してもいいようにと親父が材料屋に注文していたようだ。

8.3階屋根完成

「できた!」思わず声が出た。この時、すでに連休は終わっていた。

9.サポート

2階の屋根加工をお願いに(株)衣川製作所に行った。衣川常務に、自分が加工した時の切削条件とプログラムの内容を話し加工をお願いした。

まだこの時には屋根の裏側の加工データしかなく、「表側のデータはいつまでに要りますか?」と尋ねると「明日の3:00、遅くても5:00までには欲しい」との返事。表側のデータは手作業で編集して作成したので修正ミスがないかを何度も見直した。

日曜日の夜に木村さんから「プログラムの動作がおかしい」と連絡があり行ってみると機械は機嫌よく屋根を削っていた。 これで一安心。その後、プログラムミスにより屋根の曲線が設計通りにならないという問題が発生したが、今井さんの素早い対応でオシャカ直前でセーフ。

仮組みの前日、今井さんから「屋根飾りはどうなってます?」と電話。八川くんに確認すると「明日、屋根の実物見てから本組みまでに作ります」との返事。今井さんに伝えると「んんん….」その夜、八川くんと二人で「あーでもない、こーでもない」と言いながらCADを使ってプログラムを作ったのでした。同じメーカのCADだったので、私が知らなかった機能を覚えられたので得をしてしまいました。仮組の日に八川くんが持って来てくれた屋根飾りは「出来たて」です。

1階の一番大きな屋根を加工してくれた江森くんも加工に関してはかなり苦労があったみたいです。加工しているところを見に行けませんでしたが、最近導入されたマシニングを「初削り(?)」に使ってくれました。「彼は機械と格闘してました」とは激励に駆けつけた板金隊長の近藤くん談。

以上が1階から4階までの屋根ストーリです。仮組みの日にはみんな満足したいい顔で集まることができて本当によかったです。

通常2次元半加工の仕事は、よくやりますが、3次元加工は初めてで、不安と楽しみの両方でした。設計及びCADデータ作成(河原鉄工様)、CAM作成(山本精工様)、加工(日光電機)を3社で分担し行いました。形状を、少しでもきれいに表現しようと考えると、パソコンから機械にデータを、送りながら加工する手法となりました。この環境をセッティングしたりするのに、なかなかうまく行かず、たくさんの方に協力頂き、大変助かりました。

実際の加工では、機械は普段見ぬ不思議な動きで、すごくおもしろかったのと、逆に不安が入り混じった、妙な気分でした。段取り約3日、加工は約30時間と、休日・深夜と長時間に渡りましたが、お陰様で諸先輩を始め、多くのメンバーの協力を得ながら、無事完成しました。

途中、もたつく度に、ギャラリーの先輩方には、たくさんの教育的指導を受けまして、少し耳が痛い所もありましたが、大変勉強になりました。

今回かなり苦労しましたが、3次元加工を含め、普通に仕事していたらわからないこともいろいろ勉強できました。また、組み上がった五重塔を見ると、メンバー企業の熱意と技術の集大成という感じがし、とてもうれしく思いました。

セクション

1.受注

東氏より五重塔の製作に関わる事が決まったとの連絡が入る。場所は一番上のお飾り部分であると言う「イメージが湧かない・・・」最も目のつく場所で屋根部分の3次元加工の話を聞いていたので自分の仕事で他の方々の努力を無駄にしないように、とだけ考えて引き受けさせていただきました。

程なくして設計担当の河原氏から図面が届く。見てビックリ・・・「お飾りってこんなんやったっけ?」(^^;)

2.段取り

この長いお飾り、加工に関しては一任してもらったのは良いがどこから手をつけようか?当社の社長にも相談しながら段取りを考えた結果、一つモノでの加工は考えにくい為、3分割にしてネジで繋ぐ事に決定!

社長より「まともに見れるモノを作れ!」とのシンプルながらも厳しいエールを受けて加工に入る。

3.製作

3分割したうち本体部分と先端部分はある程度の加工法を決定できたものの、真中の羽の部分の加工で行き詰まる。ココは羽と羽のツナギ目にR加工が要求されている。当社にある複合旋盤でも加工が出来ない為かなり悩む。・・・ 

社長に相談すると「ワイヤーカットがエエやろ」とのありがたい言葉。そうだったワイヤーカットがあったんだ!で、どこに頼むのか?会員企業はどこ共に五重塔部品製作の真っ最中。どこか無いかな、と河原氏、東氏に相談すると、「広瀬製作所がエエやろ」との事、早速依頼してみるとOKが出た。形状のベースとなるものを渡して後は待つのみ。

ここでふと気が付く。・・・「先端部分てチャックで掴むトコ無いやん~」仕方ないので考えられる方法を3つ挙げてその中から一番加工条件が難しそうであるが完成品として最も綺麗になるであろう加工法を選んでとにかくやって見た。あ~だ、こ~だとプログラムをこねくり回してなんとか完成品が一つ出来上がった が、「・・・これはあんまり綺麗やない・・・」と言う事で再製作することにした。

一度目の失敗を生かして加工条件をまた変更して加工してみると今度は成功!気が付いたら空が明るくなっていた・・・(2/20現在)

とにかく3次元加工のすばらしい屋根の上に乗せてもらうモノだからと緊張しながらの作業だったので完成した時は「嬉しかった。」しかし、「みんなにボロクソに言われないかな?」との心配もかなりあった。(笑)

4.仮組み

仮組み当日、現場まで製品を持っていくときはちょっと憂鬱でした。なぜなら他の部分担当の方々の奮闘振りはML上で知っていたしあの屋根の上に乗せるのがどこか恥ずかしかった。自分のベストは尽くしたと言い聞かせるようにしました。

実際に組んでみると、「なんかお飾りがデカイなぁ」と想像通り言われてしまい少し焦りました。(苦笑)確かに表面処理をしていない段階ではアルミの輝きよりも、鉄の輝きの方が勝っていたようで「持ってくる前に徹底的に磨き上げておいて良かった。」と内心思いました。

5.製作後記

とにかく製品として想像していたモノが作れて嬉しかったです。加工に関しても今回色々と経験させていただけたので良い勉強が出来ましたし、得るものも大きかったです。

「お飾り」部分で見て頂きたいのは3分割されたものが1つになった時、違和感無く見える、ところです。

(近くで見るとそうでないかも知れませんが・・・)

最後になりましたが、五重塔製作に参加させていただきまして本当にありがとうございました。また、ご協力いただきました方々には心より御礼申し上げ、ありがとうございました。

セクション

1.設計

全体設計河原氏の負担軽減のため、屋根と壁とのジョイントを設計製図することになり、内心それは2時間もあったら十分だろうと思っていました。

実際打ち合わせ時に設計と加工図の下図程度までできました。それを元に、自社のCADCAMのCADを用いて作図までは順調だったのですが、プリントアウトすると小さすぎて図面にならない問題が発生し、手書きするのにも、ドラフターはもとより、製図版、T定規、1対の三角定規すらなく平行線垂直線が書けない状態でした。最終的には正面図、側面図、断面図等を別々にCADにて作図してそれぞれを個別に出力し、それを各々切り取り張り合わせて寸法線を手書きにて書き入れ、加工図面にしました。

完成までに3時間が経っていました。「道具さえあれば…。何でこんなもんで…。」一人ぼやいている自分がいました。

2.製作

ジョイントは同業の加工屋さんが担当する屋根に比べて、展示会当日は人目につくことはないパーツですが、加工担当各社は製作依頼に対して、五重の塔を構成する重要な部品ということを理解していただき快諾していただきました。

特に、当初加工予定をしていた所の都合が悪くなり、仮組みの数日前に急遽お願いしたにもかかわらず快く加工を引き受けていただいたことこから、改めて機青連の団結力の高さ、表立って活動している幹事の陰でささえていただいている先輩諸氏のありがたさを感じました。

五重塔の壁面製作管理を担当しました、近藤です。

今回、製作にご協力いただいた中村鉄函製作所、玉山工業、辻製作所、タナカテック、新和製作所さんありがとうございました。そして、ごめんなさい。僕のセンスの無い製図で好評価が得ることができず、屋根部分をいっそう美しく盛り上げた結果になってしまいました事を・・・。

でも、気づくことが出来ました。恥ずかしいですが、自分の程度と甘えがあることを・・・。

今回機青連の中で「5重塔」を製作する事になり欄干部分を担当させて頂いた吉岡です。

加工した内容は、材料発注(5Φ丸棒)→切断(長さ10mm)→曲げ加工→溶接を吉岡、牧野氏、加納氏の順に手がけていきました。

切断はシャーリングではかみ込む為、やむを得ず牧野氏に切削で切断して頂き、おまけにM3のタップ加工まで…。

仕事のあいまをぬって加工して頂くのがとっても気の毒でした。

特に溶接は曲面に平面のアルゴン溶接をすると言う普段の仕事ではあまりしない加工が大変でした。しかも完成品加工精度は10分の1。

「できた!」と思ったら「東寺の欄干よく見てみ~クロスしてるやないか。」と先輩から激励の言葉(?!)を頂き追加しました。

溶接を失敗するとタップが解けてまた付け直しと現実をリアルに再現するのにほんとに疲れました。

しかし、ここまで立派(?)に出来たのも皆様のおかげと思います。また、組立をしてみて「欄干」があってこそ「5重塔」だなと思いホットしたのが現状でした。

つぎもこのような機会があれば「喜んで!」協力させて頂きたいと思いました。

いい体験をどうも有り難うございました。

五重塔全体を設計した河原君から、台座は鋳物でお願いしますと依頼を受けたものの、具体的な図面はなく、大体の寸法と石垣のイメージということだけで製作することになりました。

鋳物を作るには、基となる木型が入ります。ヤスダモデルさんへお邪魔し、安田社長に寸法を伝え、石垣のイメージで木型を作って下さいとお願いしました。(河原君の要望をヤスダモデルさんに単にふっただけ)

1個だけ作るので、木型は発泡スチロールで作ることになりました。あとは、安田社長のセンスにお任せです。

お願いして、待つこと1週間、「できたよ」と連絡を受け、取りに行ってみると、さすが雰囲気が出た木型です。でも、逆に石組みの溝の部分が細くて、また逆勾配になっていて単純には抜けないので、鋳物でうまくできるかちょっと心配。おまけに、発泡スチロールの木型なので、1回しか使えず、失敗は許されません。

すぐに持って帰り、造型し、型被せの前に砂型をチェックしたところ、思ったよりうまくできており、ホッと一安心して、注湯しました。でも、この時点で納期がなく、型ばらししたのが仮組み当日です。朝一番に型ばらしをして、昼前には後工程の機械加工担当の生田産機工業さんへ西端さんに運んでもらいました。生田産機工業さんも、すぐに機械加工をした下さり、夕方の仮組みへJust in Timeで間に合いました。ホントに超特急の連係プレーでなんとか仮組みに間に合ったって感じです。

2月22日(火)河原鉄工さんで行われた仮組の時、初めて五重塔を見ました。各パーツごとにそれぞれ製作された企業の努力と機青連への想いが、ひしひしと伝わってきました。これをまかされた時、「失敗はできひん、従来の仕事以上にきいつけなあかん」と思いました。

セイワ工業の東さんからの提案で、皆の手で「めっき」を付けようと言われ機青連メールで参加を呼びかけました。今回は、五重塔の屋根部分はアルミ素材の切削加工の光沢をそのまま生かし、それを引き立てる目的でその他のパーツを目立たないようにするめっきです。3月2日(金)いよいよ本番、幹事の方が続々集まり順調に進む中、久御山組の人達は自分達の私物に金めっきを付けているのを見て、公開めっきにする意味が分かりました。そんな中、代表幹事はヘアーラインを一生懸命たてていらっしゃいました。

機青連スピリット、自己中心的な物事の考え方、ものづくりは「マジメに情熱的に取組み、時には遊び心を忘れずマジメにふざける」入会1年目の私には奥が深すぎる機青連活動でした。

つや消し黒ニッケル、つや消し金めっきをしたものの、組み上げをした時のバランスがおかしくないか心配です。完成品を楽しみにして下さい。

炎の男。。。東憲彦

まったく白紙の状態から、短納期&未知への挑戦をかけて一人の男が立ち上がった。機青連副代表幹事の東憲彦37歳である。

展示品製作にあたって、「とにかく僕に任せてくださ。。」と熱く語る彼の目にはウソはなかった。

すでに脳裏には、作品を前に展示会場に集う、会員の多くの笑顔が描かれていたのだ。

2ヶ月と言う短納期の中で、あえて「出来るだけ多くの会員企業に関わって欲しい。」

「出来栄えもさることながら、加工プロセスを大切にしたい」「機青連を引っ張る若手幹事の面々に、リーダーシップや仲間の大切さ、達成感を味わって欲しい」。。こうした想いが、次々に形になっていく。

「うちだけで加工した方が早くて綺麗に出来るかもしれない。。」そんな言葉もメンバーの口からは出ていたが、みんなで創ることに意義があることを彼は信じて疑わない。そして、突出した企業には、あえてアシストの役目をお願いするのである。

彼には、「自分でやる方が早い。。。」そんな考えは一切無い。多くの人とのかかわりの中で、いかに得るものが大きかった事を知り尽くした男だから。

そうした過程を経て、仮組みも予定通りに行われた。関わった多くの人が見守る中、五重塔ははじめて形になった。まさに血と汗の結晶である。夜も更けているとは思えないほど、皆には笑顔が絶えない。

もっとも達成感を味わったのは、まさに彼だったのではないか。そして仮組みの翌日、彼は起きれなかった。眠りつづけた。。。

戦士のひと時の休息である。。。

五重塔の製作は、それぞれが自分の仕事を持ち、また納期に追われる中で当然のことながら、楽な作業ではなかった。仕事を終えて、製作にかかり、時には徹夜もあったのだ。

なんでこんなに頑張れるのかヨ、「仲間」と言う字の宝物仲間の大切さを知り、仲間から育ててもらっている事を誰よりも肌で感じる男だから、彼の熱意が周囲に一つ一つ火をつけていく。そして、「五重塔」と言う大きな炎になって、燃えはじめたのである。まさに、炎の男、東の化身となったのである。休むことなく、さらに五重塔は進化する。常に丘の上を目指す、先輩の魂がやどるかのように。

五重塔の進化とともに、東もまた進化しつづけるのである。

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